自社Webメディアの立ち上げ手順と準備
会社やお店で「うちもWebメディアを立ち上げよう」と決まったとき、何から手をつければいいのか戸惑う人は少なくありません。専門の編集経験がなくても、手順と準備の順番を押さえておけば、本業と両立しながら進められます。公開してから慌てないために、企画から運用までの現実的な進め方を整理しました。
誰に何を届けるかを1枚のメモにする
自社Webメディアを作るとき、サイトのデザインやシステムから考え始めてしまうケースが見られます。しかし、最初に決めるべきなのは「誰のどんな悩みに、自社のどんな知識で答えるか」という約束です。
ここが曖昧なまま進むと、記事を書くたびに内容がぶれたり、社内で何のためにやっているのかと疑問を持たれたりします。大がかりな企画書は不要です。A4用紙1枚やメモ帳に、次の4点を書き出してみてください。
- 読んでほしい具体的な相手(既存のお客さま、あるいはこれから出会いたい人)
- その人が仕事や暮らしで困っていること、知りたいこと
- 自社が日々の仕事を通じて蓄積してきた知識や工夫
- 記事を読んだ相手に、どんな気持ちになってもらいたいか
日々の問い合わせでよく聞かれる質問や、商談でお客さまに喜ばれた説明は、そのまま記事の題材になります。自社にとっては当たり前の業務でも、外の人にとっては知りたい知恵であることが多いものです。読者を1人に絞り込み、「その人の困りごとを解決する手紙」を書く意識で土台を固めます。
無理なく回る更新体制と道具を決める
企画の方向性が見えたら、次は誰がどうやって動かすかという運用の仕組みを整えます。多くの会社では専任の担当者を置けず、普段の業務と兼任で進めることになります。途中で止まってしまわないためには、最初から背伸びをしない運用設計が欠かせません。
役割分担を最小限にする
社内の体制は、できる限りシンプルにします。関わる人数が多すぎると、確認や調整に時間がかかって公開が遅れがちになります。 基本的には、次の2つの役割があれば十分です。
- 記事を書く人(現場の知識を持つ社員や担当者)
- 記事を確かめて公開する人(事実誤認や誤字をチェックする担当者)
文章を書くのが苦手な社員がいる場合は、担当者が15分ほどインタビューして録音し、それを文章に整える方法もおすすめです。現場の生きた言葉が拾えるため、読み応えのある記事に仕上がります。
手元にある身近な道具を使う
写真や図版の準備に、高価な機材をそろえる必要はありません。最近のスマートフォンはカメラの性能が高いため、写真撮影は手持ちのスマートフォンで足ります。 見栄えを少し整えたいときは、手ブレを防ぐ三脚や、手元を明るく照らすリングライトを1つ用意すると重宝します。社内の様子や商品を写すだけであれば、身近な道具で十分に伝わる写真が撮れます。文章の作成や共有も、普段社内で使っている文書作成ツールや共有フォルダがあれば事足ります。
立ち上げ時に用意する初期記事の作り方
準備が整ったら、サイトの公開に向けて記事を書き始めます。ここで注意したいのが、記事が1本しかない状態で公開してしまうことです。訪れた読者が「このサイトは動いているのか」と不安にならないよう、公開時には3〜5本ほどの記事を並べておくのがおすすめです。
読者の疑問に答える記事から書く
最初の数本に何を書くべきか迷ったら、自社の歴史や理念ではなく、読者が検索してたどり着きそうな疑問の答えから着手します。
- お客さまから日常的によく受ける相談への回答
- 専門用語を使わずに仕事の基本的な知識を説明する解説
- 会社やお店がおすすめする道具や材料の選び方
これらは自社の得意分野であり、事実関係の確認も社内ですぐに取れるため、筆が進みやすい利点があります。
構成は結論から組み立てる
文章を書き進めるときは、冒頭でまず答えを伝えます。Web上の文章は、求める情報がすぐに見つからないと画面を閉じられてしまうためです。 答えを書いたあとに、なぜそう言えるのかという理由を添え、最後に日常業務の具体例や体験談を交えて説明します。専門用語が出てきたときは、中学生にも伝わる身近な言葉に言い換える工夫を心がけます。文字数は1本あたり1500〜2000字程度を目安にすると、スマートフォンでも無理なく読める分量になります。
公開前に整えておく運用ルール
記事がそろってきたら、公開後のトラブルを防ぐための最低限の約束事を決めておきます。細かすぎる規則を作ると書く側の負担が増えてしまうため、ポイントを絞って共有します。
表記と表現の統一
社名、商品名、業界用語の書き方を統一しておきます。漢字にするかひらがなにするか、カタカナの長音を伸ばすかどうかなど、迷いやすい表記の一覧をメモ程度に残しておくと確認が楽になります。 また、読者を傷つけるような表現や、自社を過度に大きく見せる表現を避けることも共通の認識にしておきます。誠実で分かりやすい言葉遣いを心がけることが、会社の信頼につながります。
権利関係の確認
他社のサイトや書籍の文章を無断で転載しないこと、ネット上の画像を勝手に使わないことは基本のルールです。 写真は基本的に自社で撮影したものを使うか、利用条件が明記された画像素材を活用します。社員や社外の人が写っている写真を掲載するときは、事前に本人の承諾を得ておく習慣をつけます。
無理のない更新頻度を決める
「毎週2本更新する」といった高すぎる目標を掲げると、通常業務が忙しくなったときに更新が途絶え、挫折の原因になります。 立ち上げ当初は「月に1本」または「隔週で1本」など、少し余裕を感じるペースから始めるのが現実的です。決めたペースを半年、1年と淡々と守り続けるほうが、読者からも社内からも確かな信頼を得られます。
明日、白紙のノートを開いて始めること
自社Webメディアの立ち上げは、大がかりな準備をすべて完璧に終えてから始めるものではありません。小さく始めて、読者の反応を見ながら少しずつ育てていく姿勢が大切です。
明日出社したら、まず白紙のノートやメモアプリを開いて、「最近お客さまから聞かれた質問」を1つだけ書き出してみてください。その質問に対する答えを、隣の後輩に教えるような気持ちで300字ほどで書いてみます。それが、あなたの会社のメディアを形づくる最初の1ページになります。最初の一歩は、その小さなメモから踏み出せます。
株式会社パグ党では、自社でWebメディアやSNS、ライブコマースのチャンネルをつくって運営してきた経験をもとに、会社やお店の情報発信の相談に乗る情報発信顧問もしています。運用の進め方に迷ったときは、いつでもお声がけください。